【赤ちゃんからの手紙 vol.1】
前略 大好きなお母さん
 お母さん、こんなに小さな赤ちゃんのボクから手紙が来たら驚くだろうね。でも、お母さんにはボクのことわかってほしかったの。

 この間ボクが夜中に何日も続けて泣いた時があったでしょ。お母さんは「どうしてこんなに泣くの?わからないわ」って、最後には怒っていたよね。
 あれは泣き始めた最初の日、一日中たくさんの所へ連れて行かれて大勢に人に抱っこされたからなんだ。

 ボクはとってもびっくりしたの。だって、ボクは、言葉で話したりする代わりに身体中の皮膚を使っていろんなことがわかるから。
 あの日、こわい車が何台も通り過ぎたり、デパートの中では、話し声やアナウンスがまるで山びこのようにこだまして、おばけの声みたいだったんだもの。

 ボクの心はふるえていたの。おびえた子リスのように・・・
 そして、そのあと、入れ替わり立ち替わり抱っこされて、初めは心地よかったんだけど、たくさんの人の心が感じられて、だんだん大変になってしまったの。
 だから、その日から、怖い夢とか見るようになって泣き始めたんだ。

 ボクにとって「時間」はないから、ただただふるえている心のゆらぎがうすまるまで、毎日でも泣いてしまうの。お母さんが、ボクのことを怒っているのがわかると胸がドックンドックンしてもっともっと苦しくなるの。
 こんな時は、身体中が針で刺されるみたいにヒリヒリ痛くなる。だから、身体中をさすってほしいの。

 今のボクは、まだまだ小さいからちょっとした出来事にも驚くけれど、そのうちに慣れるから大丈夫。それまでは泣くこともあると思うけど待っててね。
 ボクのだ〜いすきなもの
 お母さんがボクを見つめてくれる目。歌を歌ってくれる声。抱っこして揺らしてくれる腕。身体中をさすってくれる手。おっぱい。
 お母さん、もっとボクを見て。こんなにお母さんのことわかっているんだよ。本当にお母さんの考えていることはぜ〜んぶわかっちゃう。
 ボクがこうしてわかっていること少しでも理解してくれたら、天に昇るくらい有頂天になちゃうのになぁ・・・・。

 それじゃあ、またお手紙かくね。

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